妊婦さん向け RSウイルスワクチン(アブリスボ®)のご案内
RSウイルスとは?
RSウイルス感染症は、乳幼児の間で毎年流行する呼吸器の感染症です。
2歳までにほぼすべての子どもが一度は感染するといわれ、生後6か月未満の赤ちゃんでは、細気管支炎や肺炎など重症化することもあります。
その赤ちゃんを守る方法として、妊婦さん自身にRSウイルスワクチン(アブリスボ®)を接種し、胎盤を通して赤ちゃんに抗体を届ける「母子免疫ワクチン」が2024年から日本でも使えるようになりました。
アブリスボ®とは?
・ワクチン名:アブリスボ®筋注用(RSウイルス母子免疫ワクチン)
・効果:妊婦さんに接種することで、生まれてくる赤ちゃんのRSウイルスによる重い下気道感染症や入院のリスクを、生後およそ6か月頃まで減らすことが期待されています。
・接種回数:1回(筋肉注射)
対象となる方
妊娠24〜36週の妊婦さんが対象です。
なかでも、これまでのデータから 妊娠28〜36週頃の接種がより効果的 とされています。
当院では、次のような方に接種をおすすめしています。
・妊娠 24〜36週 の妊婦さん
・出産後すぐ〜生後6か月頃までに、RSウイルスの流行シーズン(おおむね秋〜冬〜初春)を迎える予定の赤ちゃんを妊娠中の方
・RSウイルス感染による重症化が心配なため、赤ちゃんをできるだけ守る手段を増やしたいとお考えの方
※早産や合併症のある妊娠など、妊娠経過によっては接種の可否が変わる場合があります。
必ず、かかりつけの産科の先生とご相談のうえでご予約ください。
※24週未満の妊娠初期の方・36週を過ぎて出産が近い方は、ワクチンの有効性や安全性の観点から、原則として対象外です。
接種料金
料金:30,000円(税込)/1回(自費・任意接種)
※診察料などが別途かかる場合があります。
※自治体によっては助成制度が設けられていることがあります。最新の情報は、お住まいの自治体のホームページ等でご確認ください。
接種時期の目安
妊娠24〜36週のあいだに1回接種
特に、妊娠28〜36週頃に接種した場合に、赤ちゃんの予防効果が高いことが報告されています。
ワクチン接種から出産まで、2週間以上あけるとより十分な抗体移行が期待できるとされていますので、出産予定日から逆算して、余裕をもってご相談ください。
副反応について
主な副反応は、他のワクチンと同様に
・接種部位の痛み・腫れ・赤み
・倦怠感、頭痛、筋肉痛、発熱 など
が報告されていますが、これまでの国内外のデータでは、重い副反応はまれとされています。
これまでにワクチン成分でアナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こしたことのある方は、接種できない場合があります。事前に医師へご相談ください。
助成制度について(2025年11月時点)
現在、日本では妊婦さんへのRSウイルスワクチンは任意接種(自費)ですが、
2026年4月以降に定期接種(公費)として導入される方向で検討が進められています。
制度の開始時期や対象、自己負担額などは変わる可能性がありますので、最新情報は厚生労働省や自治体からの発表をご確認ください。
ご予約・ご相談について
接種をご希望の方は、
1)まずは担当の産科医の先生にご相談いただき、接種の可否について許可をお取りください。
2)そのうえで、当院小児科までお電話または窓口でご予約・ご相談ください。
RSウイルスワクチンは、「絶対にかからないようにする」ワクチンではありませんが、重症化のリスクを減らす大きな選択肢のひとつです。
妊娠中に小児科を受診するメリット
当クリニックは小児科中心のクリニックですので、妊娠中のワクチンの接種については、まずは妊婦健診を受けている産婦人科で接種していただくことが、最も安心と考えております。
お通いの産婦人科で接種が難しい場合や、出産前に相談したいことがある場合は、ぜひ当院へご相談ください。
妊娠中に小児科を受診しておくことには、次のようなメリットもあります。
・クリニックの場所や、医師・スタッフの雰囲気をあらかじめ知ることができる
・生まれてからの予防接種や感染症対策について、事前に相談できる
出産後に、小さな赤ちゃんと一緒に新しい小児科を探すのは負担が大きいものです。
出産後に通う小児科の下見のつもりで、妊娠中からどうぞお気軽にご相談ください。


