④-②-①除去食を楽しむ
除去食を楽しむ
除去食療法は、短くても数か月は継続が必要です。楽しまなければ続けられません。赤ちゃんの場合なら普通の離乳食の進め方と同じです。少し与える食品の順序や種類が異なるだけです。お母さんの工夫で赤ちゃんもモリモリ食べてドンドン大きく育ちます。
①除去食の目的と重要なポイント
除去食を行う目的は、当該食物アレルゲンによる諸症状の軽減と耐性の獲得である。うまく除去できれば、それに起因する症状は約2週間で消失する。その後は、耐性を獲得するために除去を続ける必要がある。現段階では、耐性獲得のために、完全除去(微量のアレルゲンも除く)を継続する方がより早く耐性が獲得されるのかどうかは不明である。むしろ、より早期から、微量のアレルゲンを開始する方が耐性の獲得を早めるとの考え方もある。
当クリニックでは、後者の立場からじんま疹や湿疹皮膚炎(アトピー性皮膚炎)が軽快したなら、除去食解除に向け微量から再開している。
除去食を行うにあたり、重要なポイントは、
① 専門医の指導のもとに、診断の確定した食物について除去を行う(除去に際し、具体的な除去の程度・方法、除去期間について相談しておく)。
②常に栄養のバランスに留意し、発育・発達に目を向け、代用食品をうまく利用する。魚・野菜・根菜類を十分に摂る。
③調理に際し、鮮度の良い食品を使い、十分に加熱し、食品添加物にも注意する。1日30品目を目標にする。仮性アレルゲンにも注意する。
④除去方法として、完全な除去、当該食品のみ除去、十分な加熱や量の制限、連続投与の回避などの方法がある。
⑤同じ食品を繰り返し与えることを避ける。一つの方法として主食・副食の蛋白源を4~5日置きに回転させながら与えていく回転食がある。
⑥お子さん本人はもとより、母親・家族への精神的・心理的支援を考え、無理のないよう配慮する
②食物アレルゲンのアレルゲンの強さは、加熱や発酵で変化する
食品の料理方法で、同じ食品でもアレルゲンの強さが変化します。一般に加熱することで強さを軽減することができます。また、缶詰や電子レンジでの調理などで変化します。いろいろ工夫して見てください。
加熱で一部の蛋白質の アレルゲン性が低下 | 鶏卵、牛乳、肉類、果実類など。たたし、卵白の主蛋白のオボムコイドや牛乳蛋白の主蛋白のカゼイン、牛肉中の蛋白は耐熱性である。 |
水産加工でアレルゲン性が 低下 | 燻製:かつおぶし 缶詰め:ツナ、サケ、いわし等 干物:まるぼし、いりこ、じゃこ等 |
発酵でアレルゲン性が著明に低下 | 小麦、大麦、大豆を材料とした醤油・味噌・酢 |
加熱の影響を受けない 耐熱性の食品 | 豆類、落花生(ピーナッツ)、ナッツ類、穀類(小麦、米)、魚介類(魚、甲殻類、貝類)、種実類(ごま、そば) |
ピーナッツハはローストされるとよりアレルゲン性が強くなるので注意。
オイル漬けの缶詰では、缶の内側成分の溶出で症状がでることがある。