⑯水痘(みずぼうそう)
ポイント
発熱とともに次々と全身に小水泡生じる発熱性発疹症。乳幼児の集団生活施設では、毎年のように集団発生が繰り返されている。約80~90%は5歳以下。成人が発症すると重症となる場合が多い。免疫抑制状態の患者が発症すると時に致死的となるため注意が必要である。さらに、水痘に罹患し治癒した後でも、ウイルスは終生、知覚神経節に潜伏感染し、免疫抑制状態あるいは高齢化に伴って再活性化し、将来にわたって帯状疱疹を発症する可能性が約20%ある。ワクチン接種で予防可能である。
症状
約2週間の潜伏期間を経て発症する。発疹は全身性で掻痒を伴い、紅斑、丘疹を経て短時間で水疱を形成する。頭皮、次いで体幹、四肢に出現する。数日にわたり新しい発疹が次々と出現し、各々数日で痂皮化し、治癒する。通常、発熱、倦怠感を伴う
病態
水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染によって、ウイルス血症をけ経て、発症する。
診断
典型的な発疹の場合は、診断は容易である。さらに地域で流行していれば確実である。1回のみワクチン接種を受けている患児など、発疹が典型的でない場合には、診断に苦慮することがある。
治療
抗ウイルスであるアシクロビルを使用する。軽症例には、抗ウイルス薬は使用せずに、発疹に対する軟膏(フェノール、亜鉛華リニメント;カチリ)のみを使う。皮膚のかゆにに対して抗ヒスタミン剤を使うこともある。
予後
一般的には予後良好な疾患。稀に細菌の2次感染、髄膜脳炎、小脳失調、肺炎、肝炎などの合併症を起こす。罹患者、ワクチン接種者ともに約20%に将来、帯状疱疹を発症する。
予防
1歳過ぎと3か月以上の間隔を開けて2歳頃までに2回目の接種を行うことが勧められる。