HPVワクチン(子宮頸がん予防)
はじめに
日本では、2013年に定期接種化が始まりましたが、持続する疼痛や運動障害などの「多様な症状」の出現により、接種勧奨が一時的に差控えられていました。
その後の調査により国内外共に「多様な症状」とヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種との因果関係は証明されず、2022年からは他の定期接種と同様に接種が勧奨されるようになりました。
またHPVは子宮頸がんのほかに、咽喉頭、外陰部、腟、陰茎、肛門に発生するがんの原因にもなります。子宮頸がんから性的パートナーを守るために、また、上記がん予防 のためにも男性への接種も多くの国で承認され、日本でも費用助成の対象となりました。
男性のHPVワクチンについての詳細はこちらをご覧下さい。
子宮頸がんについて
女性の出産子育て年齢期において、発症率は 乳がんを抜いて第1位で、わが国では 毎年約3000人もの若い女性が命を失います。これを防ぐのは、HPVの感染防止と検診です。
HPVワクチンについて
HPVはクチンの接種で90%以上の感染予防効果がありますが、ワクチンに含まれないタイプのHPV感染から頸がんを防ぐために検診も必須です。
①接種ワクチン:『サーバリックス』と『ガーダシル』の2種類に加え、より広範囲のHPV型をカバーする『シルガード9』という製剤も定期接種で選択できるようになりました。それぞれ2種類、4種類、9種類のHPVに対応しています。
②接種対象:小学6年生~高校1年生相当(11歳~16歳)の女子には定期接種として公費負担で接種できます。また、キャッチアップ接種として、平成9年~平成18年生まれの女性も公費負担の対象です(2025年3月末まで)。
③接種回数・間隔:1回目接種後1-2か月開けて、2回目接種。3回目は1回目接種から6か月後の3回の接種が必要です。シルガード9では、15歳未満(誕生日の前日)に1回目接種を行えば、2回接種で完了となります。
副反応について
①筋肉注射のため、接種部位の痛みや腫れはほぼ全員に見られます。たまに微熱など様々な症状が認められますが、数日で治まります。
②接種時の痛みや緊張から迷走神経反射を起こし、ふらつき、冷や汗、血圧低下のため失神してしまうこともまれにあるため、接種の後は、しばらくの間ソファーなどで休んでいただいた方が安心です。また、痛みに対する恐れが強い方については、個別に、接種部位に痛み止めテープを使用しての接種にも対応します。予約時にご相談ください。
③接種勧奨の差し控えに至った 接種後からの広い範囲に広がる痛みや手足の動かしにくさ、不随運動などの『多様な症状』については、現在も調査研究中ですが、同年齢時期に発症しやすい『機能性身体症状』と考えられ、HPVワクチン接種歴で差がないと報告されています。
④ワクチン接種後に機能性身体症状が疑われる患者さんに対しては、専門医療機関のバックアップ体制など綿密な医療提供が敷かれています。
以上から当クリニックでは、対象者の接種にあたり、受験などのストレスが少ないと考えられる中学1年生、2年生での接種がbetterと考えます。また、接種を逃した方の接種も必要です。
以下にHPVワクチンにつて詳しく解説された日本産婦人科学会のホームページ(子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために|公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp)や世田谷区ホームページも参照してください。